2009年5月3日日曜日

SEトレーニング3日目

3日目は,午前中チェックインに続いて一人をピックアップしてデモを行う。かなり深いところまで掘り下げたデモだった。
午後になって,Maggieがいざ”誰かボランティアはいないか?”という問いかけに,一つ思い切って手を挙げると採用されてしまった。デモで自分をさらすのには,かなり勇気がいることだが,クラス内が安全な環境なので,抵抗は少なかったが,いざMaggieの目の前に座ると,心臓が高鳴った。扱ってほしい題材を選んでほしいとの問いに迷わず,自分の交通事故体験を選んだ。
手短に起きたことを告げると,Peter Levine氏も同様に歩行者の立場で車にはねられた経験があり,それについて一冊本を書いているそうだ。Peterとの共通性に驚きつつも,一連のことが自分をサポートしてくれているなんともいえない暖かい感覚が胸を包む。
当時の状況を少し詳しく述べようとした瞬間,Maggieが,身体への感覚を感じるように促す。そのタイミングが絶妙だった。トラウマ体験の嫌な状況に浸るかなり手前で,それを遮り身体感覚を追跡するトラッキングを開始した。胸から暖かい感覚が生まれ,右の脚へ移動していく。そのうち身体が内側から揺れる動きがでて,頭が上を向く衝動に委せてみると,事故のときの光景が浮かんだ。
絶妙なタイミングで,Maggieが私の足を軽く足で押さえた。それによって,不安定な浮遊感はなくなり,しかし濃すぎない支えをもらって,身体が安心感を感じている。
次に,ふと身体が着地した草むらが背中の上の方に感じられ,その感触を思い出す。その心地よさを感じていると,身体全体に静かで落ち着いた感覚が満ちてきた。ふと上から自分を見下ろしている同級生の顔が浮かんだ。それを感じるようにMaggieに促される。る。どんな感じ? →なんとなく心配して見守ってくれている感覚を思い出し, ”悪くない”と答えた途端,涙が右の眼から流れてきた。止まっていた何かが一緒に流れてきたようだ。涙の温度と感覚を味わっているうちに左眼からも涙が落ち,なぜか笑いがこみ上げてきた。背中に残る草むらの感触は依然として自分を支えてくれている。身体全体が楽になっていて,気持ちも落ち着いている。
セッション前に周囲を見渡したときには,クラス内の様子が視界に入ってはくるが,均一に見えるというよりは,まだらな感じがした。ところが,今セッションを終えて周囲を見渡すと,視界がはっきりして,より細かく感じられる。参加生の顔もクリアにみえるのと面白いことにセッション前はスキップして見ていた人々がいることにも気がついた。クラスの仲間の顔にも表情が感じられ,見守ってもらった暖かさを感じる。明らかに外界の捉え方が変わっている。
トラウマを扱われるということで,身体は最初身構えていたが,開始するとすぐに安全な感覚とつながることができたので不安な感じはなかった。そして,意外にも後半は会場に爆笑もあり,湿っぽさはなかった。Maggieにリードしてもらったが,基本的に自分の中でプロセスが始まり身体の知性が働き初めてその流れにうまくのる手伝いをしてもらった感じで,外部から誘導されたり何かを強要される感じは全くなかった。
 Maggieのセッションはまさにアートだった。自分が事故のストーリーを語り始めようとしたちょっと手前に,身体に注意を戻し,トラウマの渦に入っていくかなり手前で,今に意識を戻すそのタイミングは,絶妙だった。足に触れるタイミングも,ちょうど不安定感を感じはじめた丁度そのときだったので,それは外から注意深く微細なこちらの身体の変化を読み取ってくれたからなのだと思う。セッションはデモということもあり非常に短いものだったが,体験は深かった。そして,このプロセスは続くという。パーティにいったりはせず,たっぷり睡眠をとることを勧めるとのこと。夢を見るかもしれないという。

クラスは,その後,簡単な題材を選んで,3人ペアでの実習。

その日帰宅は遅かったので十分な睡眠はとれなかったが,明け方に目が覚めたと同時に,事故時の車のボンネットに載っている状況が浮かぶ。ボンネットが自分を柔らかく受け止めたときの感覚を背中で感じる。それは堅いものではなく,むしろ柔らかいものとして感じられ,同時に背中が実際にふっと柔らかくなる。左の股関節/大腿骨が震えるような動きがでて,何かが流れはじめる。実際には車にはねられた瞬間に意識を失ったが,証言では空中に放り投げれれた後回転して,車のボンネットに一度着地してそのあと舗装された道路横の草むらに落ちたのだという。その事故体験はまるごとネガティブなものとして捉えていたが,車に一度受け止められていなければ,アサファルトに直撃しただろう。それを思い出すと,車は自分を傷つけただけでなく,助けてもくれたのだと気がつく。また,日常で椅子に座るときに自分は椅子の背もたれに身体を預けるのがなんとなく苦手なのだが,それはこれら一連のことが関係していると妙に納得し,うとうとしながら,また朝までの数時間眠った。







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